太陽系は約46億年前、銀河系(天の川銀河)の中心から約26,000光年離れた、オリオン腕の中に位置。
世界がウクライナの危機を注視しているなかで、中東シリアで続く内戦が始まってから11年が過ぎた。紛争の発端は、2011年3月初旬に、反政府的な落書きを行ったとされる人々が逮捕されたことだった。
犠牲者はこれまでに40万人を超え、国はバラバラになった。現在、主に西部はアサド大統領の政府が支配し、東部にはシリアの反体制派、クルド人勢力、トルコ軍がそれぞれ支配する地域がある。
写真家のウィリアム・ケオ氏は、シリア北東部にはまだ大きな火種が残っていると言う。2019年に過激派組織「イスラム国」(IS)が崩壊した後、ケオ氏はシリア北東部を巡った。過激派による5年間の支配が終わり、社会がどのように再興されるのかを記録したいと思ったからだ。その代わりに目にすることになったのが、トルコ軍によるクルド人勢力に対する越境攻撃だった。
「新たな戦争が始まったのだと理解しました」とケオ氏は振り返る。「最初の10年とは違う、長い戦争です」
これからの10年は過酷で終わりの見えないものになるだろう。シリアでも特に不安定な地域である東部のデリゾールでは、クルド人勢力がISの潜伏分子の掃討作戦を進めている。だが、ISは依然として強力な存在であり続けている。(参考記事:「クルド人はどんな人たち? 4カ国に暮らす理由」)
そして、アサド政権を強力に支えていたロシアは今、軍事力と関心をウクライナ侵攻に向けた。そのロシアが新たに制裁を科されたことで、この紛争への資金援助は停滞するだろう。この地域の不安定さは一段と増すことになる。
ケオ氏は先日、滞在先のウクライナ西部のリビウから、ナショナル ジオグラフィックの取材に応えた。氏は2021年に再びシリア北東部を訪れている。
「シリアは、ウクライナの紛争が行き着く先の姿かもしれません」とケオ氏は話す。また、現在ヨーロッパで起きている難民危機によって、シリアの難民が注目されなくなることも懸念している。ウクライナの戦争被害者は、(シリアの)ラッカやカーミシュリーの被害者よりも共感を持って受けとめられることになるだろう、と氏は話す。
ケオ氏は、周囲の混乱をよそに「どこにでもあるような瞬間」や「生活の断片」を記録したいと思っている。
「子どもを連れて買いものに行く。それはどこにでもある風景です。そういった素朴な写真を通して、その背後にある複雑なストーリーを伝えたいのです」
【この記事の写真をもっと見る】ギャラリー:シリア内戦の日常、開始から11年、写真あと13点

シリア北東部では現在も各勢力が争いを続けている。2019年と2021年に同地を訪れた写真家が内戦下の日常をとらえた貴重な写真17点を紹介。
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